ピロリ菌はなぜ胃液で死なないか?

通常、胃の中は胃液によってpH1~2程度の強い酸性に保たれています。pH6~7程度がピロリ菌の活動に適していますが、
このような状況では通常の菌は生きられません。しかし、そのような環境下でもピロリ菌は棲み続けていられるのです。

これには、2つの理由があります。

1つ目は、表層粘液の中で活動しているためです。胃粘膜とは、いわゆる胃の壁で、常時胃液と接触しています。胃液に溶かされないよう胃粘膜が分泌するのが、表層粘液です。表層粘液中には、pH8.2程度と弱いアルカリ性である重曹も含まれており、胃液をある程度中和し、胃を守る働きがあります。ただし、これだけではピロリ菌は棲み続けられません。ある程度弱まったものの、酸性であること自体は変わらないためです。それを解消するのが2つ目の理由です。

2つ目は、ピロリ菌自体がバリアを張っているためです。ピロリ菌は、ウレアーゼという酵素を生み出します。この酵素は、胃の中の尿素を分解する作用があり、アンモニアを生成します。アンモニアは、pH11程度と強いアルカリ性を持っており、胃液の酸性を中和する作用があります。

つまり、アンモニアというバリアを自らの周囲に張って、強い酸性の胃液から身を守っているのです。

以上2点が、ピロリ菌が胃液で死なない理由です。

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