
お茶の作り方は?
お茶の葉を摘んだあと、どうやってお茶になりますか?

お茶の葉を摘んだ後、お茶になるまでにはいくつもの工程があります。ここでは日本の代表的な緑茶(煎茶)の製造工程を中心に説明します。
1. 摘採(茶摘み)
2. 蒸熱(蒸し)
3. 冷却
4. 揉み・乾燥工程(複数回繰り返す)
- 「揉み」と「乾燥」を段階的に繰り返します。主な工程は以下の通りです^1_4^1_1^1_5。
- 粗揉(そじゅう):蒸した葉を熱風を当てながら揉み、水分を減らします。
- 揉捻(じゅうねん):加熱せず圧力をかけて揉み、水分を均一にします。
- 中揉(ちゅうじゅう):再び熱風で揉みながら乾燥し、形を整えます。
- 精揉(せいじゅう):茶葉を細く長く整形しながら乾燥させます。
- 最終乾燥:水分を5%程度まで下げて保存性を高めます。
5. 荒茶の完成
6. 仕上げ加工
- 荒茶をふるいにかけて葉や茎、粉などに分け、さらに「火入れ」と呼ばれる加熱乾燥を行い、香りや味を引き立てます^1_4^1_3。
- 必要に応じて複数の荒茶をブレンド(合組)し、最終的な味や香りを調整します^1_6。
7. 包装・出荷
- 仕上げたお茶は袋詰めされ、店頭や消費者の元に届きます^1_6。
まとめ表:お茶の製造工程(煎茶の場合)
工程名 | 内容・目的 |
---|---|
摘採 | 新芽を摘み取る |
蒸熱 | 酵素の働きを止め、緑色や香りを保つ |
冷却 | 蒸した葉を素早く冷ます |
粗揉 | 熱風で揉みながら乾燥(水分を減らす) |
揉捻 | 加熱せず圧力をかけて揉み、水分を均一に |
中揉 | 再度揉みながら乾燥し、形を整える |
精揉 | さらに細く長く形を整えつつ乾燥 |
乾燥 | 最終的に水分を5%程度まで下げる |
仕上げ加工 | ふるい分け、火入れ、ブレンド |
包装 | 袋詰めし出荷 |
ポイント
- 緑茶の場合、摘んだ直後に蒸すことで発酵を止め、鮮やかな緑色と香りを保つのが特徴です^1_4^1_2^1_3。
- 「揉み」と「乾燥」を繰り返すことで、茶葉の形や味・香りが決まります^1_4^1_2^1_3。
- 最後に仕上げ加工や火入れを行い、商品として完成します^1_6。
このようにして、畑で摘んだ茶葉は私たちが飲むお茶へと生まれ変わります。
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市販品に「生茶」というのがありますが、あれは生の茶葉からいきなりお茶成分を抽出しているのでしょうか?

市販の「生茶」は、生の茶葉から直接お茶成分を抽出しているわけではありません。実際には、通常の緑茶(加熱処理や加工を経た茶葉)に加え、「まる搾り生茶葉抽出物」という成分が加えられています^2_1。
この「まる搾り生茶葉抽出物」とは、摘みたての生茶葉を独自技術で搾り、茶葉本来のうま味や香り成分を抽出したものです^2_2。ただし、商品全体がこの生茶葉抽出物だけでできているわけではなく、通常の緑茶抽出液とブレンドされています^2_1。
つまり、「生茶」は
- 通常の緑茶抽出液(加工済み茶葉から抽出)
- まる搾り生茶葉抽出物(生茶葉由来の成分)
を組み合わせて作られているため、「生の茶葉だけを使っていきなり抽出したお茶」ではありません^2_1。
この製法により、生茶葉特有のフレッシュな香りやうま味を加えた新しい味わいを実現しています^2_2。
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「まる搾り生茶葉抽出物」とは一体何ですか?

「まる搾り生茶葉抽出物」とは、摘みたての生茶葉を熱や乾燥の工程に入れる前に、芯まで凍結して鮮度を保った状態で丸ごと搾って抽出した成分です^3_1^3_6。
この製法は「生茶葉鮮度搾り製法」と呼ばれ、摘んでから8時間以内に茶葉を芯まで凍らせることで、茶葉本来の爽やかな香りや清々しさ、あまみを最大限に引き出すのが特徴です^3_1。
「摘んでから8時間以内に芯まで凍結し、鮮度を保った生茶葉を、丸ごと搾って使用することで、清々しい、すっきり爽やかな香りを楽しむことができます。」^3_1
この抽出物を加えることで、「生茶」は従来の緑茶にはないフレッシュな香りや味わいを実現しています^3_3。なお、抽出後は加熱処理を行い、衛生面にも配慮されています^3_2^3_7。
まとめると、「まる搾り生茶葉抽出物」は、摘みたての生茶葉を凍結し、丸ごと搾って得られる、香り高くあまみ豊かな抽出成分です^3_1^3_6。
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生ではなく冷凍しているのですね。そこは百歩譲るとしても、抽出後は加熱しているのですね。「生」はかなり誇張した表現、もしくは、誤認を誘発する表現ですね。

ご指摘の通り、市販の「生茶」は生の茶葉をそのまま使っているわけではなく、摘みたての茶葉を凍結し、搾った抽出物を加熱処理して製品化しています^4_1^4_3。このため、「生」という言葉から消費者がイメージする「加熱や加工をしていない、まさに生の茶葉そのもののお茶」とは異なります^4_4。
「生茶」というネーミングは、「生ビール」や「生チョコレート」など日本人が好む“生”のイメージ(新鮮・みずみずしい・フレッシュ)を取り入れたブランド戦略によるものであり、実際の商品は衛生や保存性の観点から加熱工程を経ています^4_5。
消費者庁や東京都のガイドラインによれば、商品名や表示が実際の内容と著しく異なり、消費者に誤認を与える場合は問題となるとされています^4_6。ただし、「生茶」の場合は「生茶葉を鮮度の高いうちに搾って抽出した成分を使っている」という技術的な特徴を根拠に“生”を用いているため、完全な「事実と異なる表示」とまでは言えないものの、消費者の“生”へのイメージと実際の製法にはギャップがあることは否定できません^4_4^4_7。
したがって、「生茶」の“生”は実際の製法とは異なるイメージを強調した表現であり、ご指摘のように誇張や誤認を誘発する可能性があると言えます^4_4。
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生ビールは加熱していないので正しいと思います。しかしそれ以外の「生〇〇」はほとんどは誇張ですね。生バウムクーヘンしかり。

おっしゃる通り、「生ビール」は熱処理をしていないビールという明確な定義があり、日本のビール業界でも「熱による処理(パストリゼーション)をしないビールでなければ、“生ビール”または“ドラフトビール”と表示してはならない」と公正競争規約で定められています^5_1^5_3。つまり、「生ビール」の“生”は科学的・製造上の根拠がある正当な表現です。
一方で、「生バウムクーヘン」や「生チョコレート」など、ビール以外の“生〇〇”は、厳密な定義がないまま“みずみずしい”“しっとり”“フレッシュ”といったイメージを強調するために使われているケースがほとんどです^5_5。実際には通常の加熱や加工工程を経ているにもかかわらず、“生”という言葉が商品名やパッケージに使われることで、消費者に誤った印象を与える可能性があります^5_5。
このような「誇張表現(誇張法)」は、インパクトや購買意欲を高めるためのレトリックとしてよく使われますが、事実と異なる印象を与える場合は注意が必要です^5_5。
まとめると、
- 「生ビール」は加熱していないという明確な基準があり、正しい表現
- その他の“生〇〇”は、実際には加熱や加工済みである場合が多く、誇張やイメージ戦略として使われているケースが大半
というのが現状です。
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これらは景表法で規制されないのでしょうか?

「生茶」や「生バウムクーヘン」などの“生〇〇”表示が景品表示法(景表法)で規制されるかどうかについては、以下のような考え方になります。
景品表示法の基本
- 景表法は、消費者に実際よりも著しく優良または有利であると誤認させる表示(不当表示)を禁止しています^6_1^6_3。
- 具体的には「優良誤認表示」「有利誤認表示」「その他誤認表示」が規制対象です^6_1^6_4。
- 表示が不当かどうかは、「一般消費者がどのような印象・認識を持つか」が基準となり、消費者の合理的な選択を妨げるかどうかで判断されます^6_5^6_2。
“生”表示が規制される場合
- 「生」の表示が、実際の製法や品質と著しく異なり、消費者が“加熱や加工されていない”と誤認する可能性が高い場合、優良誤認表示として景表法違反となる可能性があります^6_6^6_1。
- ただし、社会通念上許容される程度のイメージ表現や、業界である程度認知されている使い方であれば、直ちに違法とまではなりません^6_7。
実際の運用と判断基準
- 表示が違法かどうかは、消費者庁などが個別の事例ごとに判断します^6_5^6_2。
- たとえば「生ビール」は明確な定義があり、消費者も理解しているため問題になりにくいですが、「生チョコ」「生バウムクーヘン」などは“しっとり”“なめらか”などのイメージ表現として使われている場合が多く、実際に消費者が“加熱していない”と誤認するかどうかがポイントです^6_1。
- 万一、消費者から誤認の指摘や苦情が多く寄せられた場合や、実態とあまりにもかけ離れた表示であれば、行政指導や措置命令の対象となることがあります^6_6^6_7。
まとめ
- “生”表示が景表法で直ちに一律規制されているわけではありませんが、実態と大きく異なり、消費者の合理的な選択を妨げる場合は不当表示として規制される可能性があります^6_1^6_6。
- 表示を行う事業者は、消費者がどのように受け取るかを十分に考慮し、誤認を招かないよう注意する義務があります^6_5^6_2。
「事業者は、その商品・役務の実際と異ならない範囲で自由に表示をすることが可能である。…消費者の立場に立って、広告・表示の全体から一般消費者がどのような印象・認識を持つかを考えた上で、顧客に誤解されないようにする」(消費者庁ガイドラインより)^6_5
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他に紛らわしい「生〇〇」にはどういう物がありますか?

近年、食品業界では「生〇〇」と名付けられた商品が非常に多く出回っていますが、その多くは実際には加熱や加工を経ているものも多く、“生”の定義が曖昧で、消費者にとって紛らわしいケースが目立ちます^7_1^7_3。
代表的な紛らわしい「生〇〇」商品例:
- 生どらやき
しっとりした生地や、生クリームをサンドしていることから「生」と冠していますが、実際には加熱調理されています^7_1^7_4。 - 生パウンドケーキ/生クッキー
パウンドケーキやクッキー自体は焼いて作られていますが、しっとり感や口どけの良さ、クリームの使用などで「生」と表現されます^7_1。 - 生チーズケーキ
本来「レアチーズケーキ」は焼かずに作るため“生”ですが、「生チーズケーキ」と名乗る商品には低温で焼いたものや、焼いた後にクリームを加えたものもあります^7_1。 - 生ドーナツ
揚げているにもかかわらず、ふわふわ・とろける食感を強調するため「生」と名付けられています^7_1^7_3。 - 生ドライフルーツ
「生」と「ドライ」が矛盾するようですが、半生状態の柔らかいドライフルーツを指すことが多いです^7_1。 - 生大福/生雪見だいふく
クリームや生チョコを包んだ大福、冷蔵・冷凍の和洋折衷スイーツなども「生」の名で販売されています^7_2。 - 生キャラメル
通常のキャラメルよりも柔らかく、口どけの良さを強調した商品ですが、加熱工程はあります^7_1。 - 生タピオカ
乾燥タピオカと区別して、作りたてや冷凍のタピオカを「生」と呼ぶケースがありますが、こちらは比較的明確な区分があります^7_1。 - 生はちみつ
これは加熱処理をしていないはちみつを指すため、比較的「生」の意味が明確です^7_1。 - 生チョコパイ/生雪見だいふく
通常品よりもクリームやチョコレートの“生感”やなめらかさを強調した新商品名として使われています^7_2。 - 生食パン
生クリームやバターを多く使い、しっとり・やわらかい食感を強調するため「生」と表記されますが、焼いて作られています^7_1。
このように、「生〇〇」の“生”は食感や鮮度、なめらかさ、しっとり感などのイメージを訴求するための表現に使われていることが多く、必ずしも「非加熱」「未加工」という意味ではありません^7_1^7_3。消費者が誤認しやすい点には注意が必要です。
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