
コンクラーベについて、キリスト教徒ではない者にもわかるように教えて下さい。

コンクラーベとは何か
コンクラーベ(Conclave)は、カトリック教会のトップであるローマ教皇(法王)を選ぶための特別な選挙のことです。キリスト教徒でなくても理解しやすいように、宗教的な背景をできるだけ排除して説明します。
コンクラーベの主なポイント
- コンクラーベは「鍵をかけた部屋」という意味のラテン語に由来し、外部からの影響を避けるために、選挙を行う枢機卿(すうききょう)たちが隔離された状態で行われます^1_3。
- 選挙はバチカン市国のシスティーナ礼拝堂という特別な場所で行われます。ここはミケランジェロの「最後の審判」の壁画で有名です^1_1^1_5。
どのように行われるか
- 教皇が亡くなるか辞任した場合、世界中のカトリック教会の高位聖職者である80歳未満の枢機卿(今回は約133人)が集まります^1_2。
- 枢機卿たちは外部と連絡を絶ち、部屋に「鍵をかけて」選挙が終わるまで外に出られません^1_3。
- 投票は秘密で行われ、誰かが全体の3分の2以上の票を得るまで繰り返されます^1_2^1_6。
- 投票用紙は毎回燃やされ、その煙の色で外部に結果が伝えられます。新しい教皇が決まれば白い煙、決まらなければ黒い煙がシスティーナ礼拝堂の煙突から出されます^1_3^1_6。
なぜこのような方法なのか
- 歴史的には、外部勢力や政治的な圧力を排除し、公平に教皇を選ぶために密室での選挙(コンクラーベ)が始まりました^1_2^1_6。
- 13世紀には教皇選びが長引きすぎたため、枢機卿たちを鍵付きの部屋に閉じ込めて決定を急がせたことが始まりとされています^1_3。
コンクラーベの社会的意義
- ローマ教皇はカトリック教徒約14億人の精神的指導者であり、バチカン市国という独立国家の元首でもあります^1_2。
- 教皇の発言や行動は、宗教だけでなく国際政治や社会問題にも大きな影響を与えます^1_2。
まとめ
コンクラーベとは、カトリック教会の最高指導者であるローマ教皇を選ぶための、外部から完全に遮断された秘密選挙です。歴史的な背景から「密室選挙」となっており、投票の結果は煙の色で世界に伝えられます。宗教的な儀式であると同時に、世界的な影響力を持つ重要なイベントです^1_2^1_6。
⁂

誰かが全体の3分の2以上の票を得るまで繰り返される点に関してですが、これは得票数が少なかった候補者を外して決選投票を繰り返すということですか?

コンクラーベでは、投票ごとに得票数が少ない候補者を自動的に外していく「決選投票方式」ではありません。全ての投票で、枢機卿たちは自分が教皇にふさわしいと考える人物の名前を書いて投票します。つまり、毎回すべての有資格者が候補となり、得票数の少ない人が自動的に除外されるわけではありません^2_4。
この投票を繰り返し、誰かが全体の3分の2以上の票を得るまで続けます。通常は午前と午後に1回ずつ投票が行われます。もし何度も決まらない場合、規定回数(例えば7回×3セット=21回)を超えても決まらなければ、最終的に直前の投票で上位2名に絞って決選投票が行われます。この場合のみ、上位2名以外は候補から外れます^2_3。
まとめると、
- 通常の投票では毎回全員が候補。
- 得票数が少ない人が自動的に外れることはない。
- 何度も決まらない場合、最終的に上位2名による決選投票となる^2_3。
このような仕組みで、全体の3分の2以上の支持を得る人物が選ばれるまで投票が繰り返されます。
⁂

投票結果(各得票数)は有権者に毎回開示されるのですか?


なるほど。何も新しい情報がない状態のまま、選挙が繰り返されるのですね。

はい、その通りです。
基本的には、新しい公式情報(誰が何票を取ったかなど)は一切開示されないまま、同じメンバーで投票が繰り返されます。
ただし、実際のコンクラーベの現場では、非公式な情報共有や話し合いが行われることもあります。
実際のコンクラーベの雰囲気
- 投票の合間に、枢機卿同士が意見交換や相談をすることは許されています。
- 例えば「誰々が有力だ」「票が割れている」「このままでは決まらない」など、自然な会話や噂が広がることもあります。
- そのため、徐々に有力候補が浮かび上がったり、票が集約されていく傾向があります。
公式なルール
- 投票結果の詳細(得票数や投票者)は、公式には一切公表されません。
- 外部との連絡も完全に遮断されています。
まとめ
- 公式には「新しい情報がない」状態で投票が続く。
- しかし、枢機卿同士の会話や雰囲気の変化など、非公式な形で情報が共有され、合意形成が進むことが多いです。
このような「密室での合意形成」も、コンクラーベの大きな特徴の一つです。

情報が遮断された状態とは言え、枢機卿同士の接触はあるのですね。

はい、その通りです。コンクラーベでは外部との情報が厳しく遮断されますが、枢機卿同士の接触や会話は認められています。
現在のコンクラーベでは、枢機卿たちはバチカン内のサン・マルタ館という宿舎で生活し、投票のたびにシスティーナ礼拝堂に移動して投票を行います。彼らはバチカンの庭を散策することもでき、選挙期間中は枢機卿同士が日常的に顔を合わせ、話し合う機会が多くあります^5_4。
ただし、外部との連絡や情報発信は厳重に禁じられており、電話やインターネットも遮断されています。選挙の進行や内容について外部に漏らすことは重大な違反とされ、破門の対象にもなります^5_4。
つまり、「外部からの情報は完全に遮断されているが、内部(枢機卿同士)での接触や意見交換は可能」というのが現代のコンクラーベの実態です^5_4。
⁂

開票・集計は誰が行うのですか?

コンクラーベにおける開票・集計は、投票権を持つ枢機卿たちの中から選ばれた「監督枢機卿(スクルティネーター)」と呼ばれる数名の枢機卿が担当します。彼らは投票用紙の回収、開票、集計、そして結果の確認までを厳格な手順で行います^6_3。
この役割を担う枢機卿は、選挙開始時に抽選で選ばれます。通常、3人の監督枢機卿が選ばれ、彼らが投票用紙を一枚ずつ読み上げて票を数えます。また、不正防止のため、他にも「補助枢機卿」や「記録枢機卿」など、役割分担がなされ、全ての手順が複数人の監督下で進められます^6_3。
このようにして、開票・集計はコンクラーベの内部で選ばれた枢機卿自身が厳格な秘密保持のもとで行うことが、教皇選挙の公正さと秘密性を担保しています^6_3。
⁂

監督枢機卿、補助枢機卿、記録枢機卿は選挙のたびに選ばれるのですか?それとも、コンクラーベを通して同一人物が担うのですか?

監督枢機卿(スクルティネーター)、補助枢機卿、記録枢機卿といった役職は、コンクラーベの開始時に抽選で選ばれ、その後はコンクラーベ全体を通して同じ人物がその役割を担います。つまり、毎回の投票ごとに新たに選び直すのではなく、コンクラーベ期間中は同一人物が継続して開票・集計などの任務を担当します。
この仕組みにより、手続きの一貫性や公正性が保たれるようになっています。
⁂

彼らも選挙権を持っていて枢機卿同士の接触が認めらているのなら、選挙結果はなんとなく伝わってしまうでしょうね。

ご指摘の通り、コンクラーベでは枢機卿同士の接触や会話が認められているため、公式に得票数が発表されなくても、選挙の流れや有力候補の動向は参加者の間で自然と共有されていきます^8_6。
実際、枢機卿たちは投票の合間に同じ宿舎で生活し、食事や散策など日常的に顔を合わせます。その中で「誰に票が集まっているか」「どの候補が有力か」といった情報や空気感は、非公式な会話や雰囲気から伝わることが多いです^8_6。
また、歴史的にも「有力候補としてコンクラーベに入った者が、ただの枢機卿として出てくる」ということわざがあるほど、内部での駆け引きや票の動きが重要視されています^8_2。こうしたやり取りや多数派工作は、映画や報道でも描かれており、密室での合意形成がコンクラーベの特徴の一つです^8_6。
つまり、公式な得票数の発表がなくても、枢機卿たちの間では「なんとなく」結果や情勢が伝わっていくのが実態です。
⁂

これまでのコンクラーベでは、何回程度の選挙で教皇が選出されているでしょうか?また、これまでに何回のコンクラーベが行われたのでしょう?

これまでのコンクラーベで教皇が選出されるまでの投票回数
近年のコンクラーベでは、教皇が選出されるまでにかかる投票回数は比較的少なくなっています。
- 2005年のベネディクト16世選出時は4回の投票(2日間)で決定しました。
- 2013年のフランシスコ教皇選出時も5回の投票(2日間)で決定しています^9_3。
20世紀以降のコンクラーベは、ほとんどが数日以内、10回未満の投票で教皇が選ばれています。最も長かったのは1922年のピウス11世選出時で、14回の投票(5日間)でした^9_3。
一方、歴史的には非常に長期化した例もあり、19世紀のグレゴリウス16世選出時(1830-31年)は51日間かかっています^9_4。さらに13世紀には、クレメンス4世の後継選出に1,006日(約3年)かかったという記録もあります^9_5。
これまでに行われたコンクラーベの回数
まとめ
- 近年のコンクラーベは、2日間・4〜5回程度の投票で教皇が選出されることが多いです^9_3。
- 歴史的には数十回、場合によっては数百回の投票や数年に及ぶ長期化もありました^9_4。
- 1276年以降、約77回のコンクラーベが正式に行われています^9_2。
⁂

回数が「約77回」と曖昧になっている理由は?

コンクラーベの回数が「約77回」と曖昧になる理由は、歴史的な経緯や定義の違いが影響しています。
- コンクラーベという形式が確立したのは1276年以降とされますが、それ以前にも教皇選挙は行われており、どこからを「コンクラーベ」と数えるかについて学術的・宗教的に見解が分かれることがあります^10_3。
- また、同時期に複数の選挙が行われたり、対立教皇(複数の教皇が同時に存在した時代)がいたため、どの選挙を正式なコンクラーベに含めるかでカウントが変動します。
- さらに、歴史的記録の不明瞭さや、途中で無効となった選挙、特例的な選出方法が取られたケースもあり、厳密な回数を断定しにくい事情があります。
このような理由から、コンクラーベの回数は「約77回」といった表現で示されることが多いのです^10_3。
⁂

選挙結果を伝える白い煙・黒い煙は、それぞれ何を燃やして作っているのでしょうか?

コンクラーベで使われる白い煙と黒い煙は、投票用紙を焼却する際に特別な化学薬品を加えて発生させています。
- 白い煙は、塩素酸カリウムや乳糖、松脂などの混合物を投票用紙と一緒に燃やすことで作られます。これにより、はっきりとした白煙が立ち上ります^11_5^11_4。
- 黒い煙は、過塩素酸カリウム、アントラセン、硫黄などの化合物を混ぜて燃やすことで発生します。これによって、明確な黒煙が出るようになっています^11_5^11_4。
以前は湿らせたわらなどを使って黒煙を出していましたが、煙の色が分かりにくいことがあったため、1978年以降は化学薬品を使って明確な色を出す方式になりました^11_5。
また、システィーナ礼拝堂には2台のストーブが設置されており、1台は投票用紙の焼却専用、もう1台は煙の色を調整するための化学薬品専用です^11_4。
⁂

今回(2025年)もその方法ですか?