大相撲の行司の位について解説して下さい
大相撲の行司は、土俵上での裁きだけでなく、大相撲全体の運営に重要な役割を果たしています。行司の位階制度は複雑で、8つの階級に分かれています。
行司の8つの階級
- 立行司(たてぎょうじ): 最高位
- 三役格行司
- 幕内格行司
- 十両格行司
- 幕下格行司
- 三段目格行司
- 序二段格行司
- 序ノ口格行司
この階級制度は力士の番付と似ており、上位の行司ほど重要な取組を裁くことができます15。
階級による待遇の違い
行司の階級によって、以下のような待遇の違いがあります:
- 装束: 立行司は最も華やかな装束を着用し、印籠と短刀を携えます3。
- 足元: 立行司は足袋に草履を履きますが、下位の行司は素足です1。
- 軍配の房色: 階級によって異なり、最高位の立行司は紫白の房を使用します8。
- 給与: 上位の行司ほど高給です4。
- 付け人: 上位の行司には付け人がつきます1。
立行司について
立行司は行司の最高位で、木村庄之助と式守伊之助の二人だけです3。これらの名前は代々襲名され、現在の木村庄之助は第39代目となります9。立行司は最も重要な取組、特に結びの一番を裁く特権があります。
昇進システム
行司の昇進は年功序列ではなく、能力や実績に基づいて決定されます1。昇進の基準には、土俵上での判定の正確さ、姿勢、声量、指導力などが含まれます1。
行司の役割
行司は土俵上での裁きだけでなく、以下のような多岐にわたる役割を担っています:
- 番付表の作成
- 場内アナウンス
- 巡業の渉外
- 土俵祭りの執行
- 取組の編成案の作成
- 相撲字での番付書き3
これらの多様な役割により、行司は大相撲の運営全体に不可欠な存在となっています。
行司の階級はどのように決まるの?昇格・降格の基準は?
大相撲の行司の階級は、厳格な基準と評価プロセスに基づいて決定されます。以下に、行司の階級システムと昇格・降格の基準について詳しく説明します。
行司の階級
行司の階級は、力士と同様に8段階に分かれています:
- 立行司(最高位)
- 三役格行司
- 幕内格行司
- 十両格行司
- 幕下格行司
- 三段目格行司
- 序二段格行司
- 序ノ口格行司(最下位)
立行司は「木村庄之助」と「式守伊之助」の2名のみで、それぞれ横綱格と大関格に相当します512。
昇格・降格の基準
行司の昇格・降格は、年功序列ではなく、以下の成績評価基準に基づいて決定されます14:
- 土俵上の勝負判定の良否
- 土俵上の姿勢態度の良否
- 土俵上のかけ声、声量の良否
- 指導力の有無
- 日常の勤務、操行の状況
- その他行司実務の優劣
昇格・降格のプロセス
- 評価期間:毎本場所および毎巡業ごとに審判部長等が考課表を作成します14。
- 決定時期:昇格・降格は原則として年1回、9月場所後に開催される番付編成会議で決定されます147。
- 適用時期:決定された昇格・降格は翌年1月から適用されます14。
- 決定機関:理事会の詮衡により最終決定されます14。
特別な規定
- 立行司(木村庄之助、式守伊之助)は成績評価の対象から除外され、自己責任においてその進退が委ねられています147。
- 式守伊之助の名跡を襲名した者は、襲名時より2年間は他の行司と同一に扱われます7。
- 差し違えによる降格:
その他の注意点
- 行司の定員は45名以内、うち十両格以上の定員は22名以内と定められています1411。
- 特別な事情(病気、中途退職、死亡など)により、昇格が遅れたり、年功序列を飛ばして昇格するケースもあります8。
- 階級によって、給与、装束、軍配の房の色、足袋・草履の有無など、待遇や外見に明確な違いがあります312。
このように、行司の階級は単純な年功序列ではなく、多面的な評価と厳格な基準に基づいて決定されています。これにより、行司の技能と責任感の向上が図られ、大相撲の伝統と品格が維持されているのです。
各階級の行司の人数は?
現在の各階級の行司の人数は以下のようになっています:
立行司
- 木村庄之助: 1名
- 式守伊之助: 1名
その他の階級
- 三役格行司: 3名
- 幕内格行司: 9名
- 十両格行司: 7名
- 幕下格行司: 7名
- 三段目格行司: 7名
- 序二段格行司: 6名
- 序ノ口格行司: 4名
これらの数字は2025年1月現在の情報に基づいています14。
ただし、行司の総数は45名以内と定められており、十両格以上の行司は22名以内と規定されています36。
行司の階級や人数は、毎年9月場所後に開催される番付編成会議で見直されます。昇格・降格は審判部長等が作成した考課表に基づいて審議され、理事会で最終決定されます4。
なお、行司の定員や各階級の人数は、時代や状況に応じて変更されることがあります。例えば、相撲部屋の増加に伴い、平成5年(1993年)には行司の補助員を臨時に5人増やしたこともあります3。
行司の階級によって、裁く取組の重要度、装束、給与、待遇などが異なります。立行司は最高位であり、木村庄之助が式守伊之助よりも上位とされています3。
行事の装束についてまとめてください。階級によって違いはありますか?
大相撲の行司の装束は、階級によって明確な違いがあります。以下に、行司の装束の特徴と階級ごとの違いをまとめます。
基本的な装束
行司の基本的な装束は以下の通りです:
- 直垂(ひたたれ):主要な衣装
- 烏帽子(えぼし):頭に被る帽子
- 軍配:勝敗を判定する道具
これらの装束は明治43年(1910年)から採用されました。
階級による装束の違い
行司の階級は8段階あり、それぞれの階級で装束に違いがあります。
立行司(木村庄之助・式守伊之助)
- 軍配の房と菊綴(きくとじ)の色:
- 木村庄之助:総紫または紫紺
- 式守伊之助:紫白
- 履物:白足袋に草履
- 装束の生地:夏は麻、冬は絹
- 特徴:
- 短刀を左腰に差す
- 印籠を右腰に下げる
- 最も華やかな装束
三役格行司
- 軍配の房と菊綴の色:朱
- 履物:白足袋に草履
- 装束の生地:夏は麻、冬は絹
- 特徴:印籠を右腰に下げる
幕内格行司
- 軍配の房と菊綴の色:紅白
- 履物:白足袋のみ
- 装束の生地:夏は麻、冬は絹
十両格行司
- 軍配の房と菊綴の色:青白
- 履物:白足袋のみ
- 装束の生地:夏は麻、冬は絹
幕下格以下(幕下・三段目・序二段・序ノ口)
- 軍配の房と菊綴の色:黒または青(緑に近い)
- 履物:素足(はだし行司と呼ばれる)
- 装束の生地:年中木綿
- 特徴:袴を膝までたくし上げ、膝下が見える
その他の特徴
- 紐の色:胸紐、袖や袴のくくり紐など、すべて軍配の房と同じ色
- デザイン:行司によって好みや個性が反映される
- 生地:十両格以上は夏は薄地の麻、冬は厚地の絹を使用
- 膝の部分:十両格以上は開いているが、幕下格以下は膝の下で絞ってある
行司の装束は、階級が上がるにつれてより華やかで高級になり、着用できる小物も増えていきます。これらの違いにより、一目で行司の階級を判別することができます。