
台風と熱帯低気圧の違いは?

台風と熱帯低気圧の違いは、主に「最大風速」と「呼び方」にあります。
- 台風は、熱帯または亜熱帯の海上で発生した「熱帯低気圧」が発達し、中心付近の最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s(34ノット、風力8)以上になったものを指します^1_1^1_3。
- 熱帯低気圧は、同じく熱帯や亜熱帯の海上で発生する低気圧ですが、最大風速が17m/s(34ノット)未満の状態です^1_4^1_5。
つまり、台風は熱帯低気圧の一種で、風が強くなったものだけが「台風」と呼ばれます。台風が勢力を弱めて最大風速が17m/s未満になると、再び「熱帯低気圧」と呼ばれるようになります^1_6^1_3。
まとめると、台風と熱帯低気圧は発生場所やエネルギーの源は同じですが、最大風速が基準以上かどうかで呼び方が変わるという違いがあります。
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台風の勢力が落ちると熱帯低気圧になる(戻る)のですね。温帯低気圧というものも聞いたことがありますが、これとの違いは?

台風の勢力が落ちて最大風速が17m/s未満になると、再び「熱帯低気圧」と呼ばれるようになります^2_1^2_3。これはエネルギー源や発生場所が変わらないまま、風の強さだけが基準以下になった状態です。
一方、「温帯低気圧」は台風や熱帯低気圧とは構造が異なります。主な違いは以下のとおりです。
項目 | 台風・熱帯低気圧 | 温帯低気圧 |
---|---|---|
発生場所 | 熱帯・亜熱帯の海上 | 中緯度(温帯)地域 |
エネルギー源 | 暖かい海からの水蒸気と熱 | 暖気と寒気の温度差 |
構造 | 暖かい空気のみで構成、前線なし | 暖気と寒気が混ざり、前線あり |
前線 | なし | あり(温暖前線・寒冷前線など) |
移動方向 | 最初は西へ、後に北上が多い | 主に西から東へ |
台風が北上して日本付近まで来ると、北から冷たい空気が入り込むことで「温帯低気圧」に変わることがあります。この時、構造自体が変化し、前線が発生します^2_4^2_6。
まとめると、台風が勢力を落として熱帯低気圧に戻るのは風の強さによる変化ですが、温帯低気圧になるのは構造やエネルギー源が変わるためです。温帯低気圧は前線を伴い、暖気と寒気の温度差をエネルギーとします^2_4^2_6。
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台風からは熱帯低気圧に変わるのですね。そこからさらに温帯低気圧に変化する(ものがある)ということですか?台風から直接温帯低気圧になることはないのですよね?

台風が勢力を落として「熱帯低気圧」に戻ることと、構造が変わって「温帯低気圧」に変わることは、それぞれ異なる変化です。
- 熱帯低気圧への変化
台風の最大風速が17m/s未満になると「熱帯低気圧」と呼ばれます。これは、台風の構造(暖かい空気の塊)は維持されたまま、風の強さだけが弱まった状態です^3_1^3_3。 - 温帯低気圧への変化
台風が北上して北からの冷たい空気にさらされると、構造自体が変化し、前線が発生して「温帯低気圧」になります。この変化は台風の構造が崩れることで起こり、勢力の強弱とは直接関係ありません^3_1^3_5。
台風から直接温帯低気圧になることはないのですよね?
台風が「熱帯低気圧」を経ずに直接「温帯低気圧」に変わることもあります。
実際には、台風が北上して冷たい空気と混ざり始めると、最大風速が17m/s以上であっても、構造が温帯低気圧の特徴(前線の発生など)に変わった時点で「温帯低気圧」に変わると発表されます^3_1^3_6。
この場合、最大風速が基準を下回って熱帯低気圧になる前に、構造変化によって温帯低気圧化が宣言されるため、「熱帯低気圧への変化」と「温帯低気圧への変化」は必ずしも段階を踏むわけではありません。
まとめ
- 台風が熱帯低気圧に戻るのは、風の強さが基準以下になったとき(構造は変わらず)。
- 台風が温帯低気圧に変わるのは、構造自体が変化したとき(風の強さが基準を下回るかどうかは関係ない)。
- 台風から直接温帯低気圧になることもあり、必ず熱帯低気圧を経るとは限らない^3_1^3_6。
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なるほど。熱帯低気圧は風速が強くなると台風と呼ばれるとのことですが、温帯低気圧は勢力が強くなっても呼称が変わることはないのですか?


爆弾低気圧には勢力などなにか目安になる指標はありますか?

爆弾低気圧は「急速に発達する温帯低気圧」を指し、その勢力や発達度合いを判断するための明確な指標があります。
主な指標は「中心気圧の低下速度」です。
- 定義
爆弾低気圧の定義として最も広く使われているのは、Sanders and Gyakum(1980)によるもので、「中心気圧が24時間で24hPa×sin(φ)/sin(60°)以上低下する温帯低気圧」とされています(φは低気圧の緯度)^5_1^5_3。 - 具体例
例えば、北緯40度(秋田)なら「24時間で17.8hPa以上」、北緯35度(東京)なら「15.9hPa以上」、北緯30度(屋久島)なら「13.9hPa以上」の気圧低下が基準となります^5_1。 - 簡易的な目安
実際には「24時間で20hPa以上」の気圧低下があれば爆弾低気圧とされることが多いです^5_1^5_5。
その他の指標
- 中心気圧や最大風速
爆弾低気圧の強さを表すには中心気圧や最大風速も重要ですが、これらは発達速度の指標ではありません^5_6。 - 分類
一部の研究では、発達率(気圧低下の速度)に応じてカテゴリー分けも行われていますが、これは主に米国東海岸の事例を対象としたもので、一般的ではありません^5_6。 - 天気図上の特徴
等圧線が狭く混み合っているほど風が強く、爆弾低気圧の影響が大きいとされます^5_4。
まとめ
爆弾低気圧の勢力や発達の目安となる指標は、「中心気圧が24時間で一定値(緯度によって異なるが、おおむね20hPa前後)以上低下すること」です。この発達速度が最も重視される指標となります^5_1^5_3。
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ところで、熱帯低気圧って、昔は熱帯性低気圧って言っていませんでしたっけ?


「熱帯性低気圧」に代わって「熱帯低気圧」が使われるようになった経緯は?

「熱帯性低気圧」から「熱帯低気圧」へと呼称が変化した明確な“経緯”について、公式な理由や時期を明記した一次資料は少ないですが、以下のような背景が考えられます。
- 「熱帯性低気圧」と「熱帯低気圧」はほぼ同義
- 国際的な用語との整合性
- 国際的には“tropical cyclone”や“tropical depression”が標準用語であり、日本語訳として「熱帯低気圧」がより直訳に近い形となっています^7_1。
- 「熱帯性低気圧」は“性”という接尾辞が付くことで、熱帯に由来する性質を持つ低気圧という意味合いが強いですが、国際的な用語と合わせるために「熱帯低気圧」が推奨されるようになったと考えられます。
- 用語の簡略化と統一
- 気象庁や気象分野では、用語の簡略化・統一が進められており、「熱帯低気圧」の方が短く、天気図などでの略記「熱低」とも整合しやすいため、公式用語として定着した背景があります^7_1。
- 正式な時期や決定事項
- 2000年6月1日以前の旧予報用語では「弱い熱帯低気圧」なども使われていましたが、現在の「熱帯低気圧」という表現への移行は、国際基準に合わせて徐々に進んだものであり、特定の日付で一斉に切り替わったわけではありません^7_1。
- ただ、気象庁の公式文書や発表では、21世紀に入ってから「熱帯低気圧」が主流となっています。
まとめ
「熱帯性低気圧」から「熱帯低気圧」への変化は、国際的な用語との整合性や用語の簡略化・統一を目的に、徐々に進められたものであり、公式な切り替え日はありません^7_1。気象庁や気象分野の公式発表では、現在「熱帯低気圧」が標準用語となっています^7_1。
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「気象庁や気象分野では、用語の簡略化・統一が進められており」って本当ですか?

最近の気象用語は線状降水帯やらJPCZやら、ややこしくなる一方では?
ご指摘のように、気象用語の簡略化・統一が進められてきた一方で、近年は新しい現象を説明するための専門的な用語が増えているという現状があります。
- 用語の簡略化・統一の実例
- 気象庁は過去に「熱帯性低気圧」から「熱帯低気圧」への呼称変更など、用語の簡略化や統一を進めてきた経緯があります。
- これは天気図や気象情報の分かりやすさや国際的な整合性を高めるための取り組みです。
- 近年の専門用語の増加
- 一方で、気象研究の進展や観測技術の向上により、「線状降水帯」「JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)」など、特定の現象をより正確に表現するための専門用語が増えています。
- これらの用語は気象庁や研究者によって定義・普及されており、気象情報の詳細化・専門化が進んでいます。
- その結果、一般の方からは「用語がややこしくなった」と感じられることもあります。
まとめ
気象庁や気象分野では、過去に用語の簡略化・統一が進められてきたのは事実ですが、近年は新しい現象や研究の進展に伴い、専門的な用語が増えている側面もあります。
このため、簡略化・統一と専門化・詳細化が同時に進行している状況です。
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