
映画「乱」のあらすじを、ネタバレしない範囲でできるだけ詳しく

映画「乱」のあらすじ(ネタバレなし・詳述)
「乱」は、黒澤明監督による壮大な時代劇で、戦国時代を舞台にした人間ドラマです。
- 主人公は、戦国の世を生き抜いてきた70歳の武将・一文字秀虎。彼は長年の戦で築いた三つの城と広大な領地を持ち、ついに隠居を決意します^1_2^1_11。
- 秀虎は、三人の息子たち――長男・太郎、次男・次郎、三男・三郎――を呼び集め、家督と城をそれぞれに譲ると宣言します。長男には家督と一の城、次男には二の城、三男には三の城を与え、兄弟が力を合わせて家を守るよう説きます^1_2^1_5。
- しかし、三男・三郎だけは父の理想に疑問を呈し、兄弟間の不和や争いの可能性を指摘します。これにより、三郎は父から勘当されてしまいます^1_5。
- 家督を継いだ長男・太郎の正室・楓の方は、家督譲渡が名目だけだと不満を持ち、太郎をそそのかして秀虎との対立を煽ります^1_6。
- 兄弟たちの間に不信と対立が生まれ、やがて家族の絆は崩れ始めます。父の期待とは裏腹に、兄弟たちは権力争いに巻き込まれ、家中は混乱と裏切りに満ちていきます^1_2^1_8。
- 物語は、父子や兄弟の愛憎、家臣や隣国の思惑も絡み合いながら、次第に壮絶な骨肉の争いへと発展していきます^1_11。
本作はシェイクスピアの『リア王』や日本の「三本の矢」の逸話を下敷きに、権力と家族、裏切りと復讐、そして人間の愚かさや無常観を圧倒的な映像美で描き出します。
映像や美術、衣装も見どころで、色彩豊かな画面構成や壮大な合戦シーンが高く評価されています^1_8。
「ある武将が悪夢を見てから突然隠居宣言をしたため3人の息子たちが争いを始める。映像がとにかくかっこいい。三兄弟の色分けが良い画を作っているし…」^1_8
「乱」は、家族や権力をめぐる人間の本質に迫る、重厚でドラマティックな物語です。
(※物語の核心的な展開や結末には触れていませんので、安心してご覧いただけます)
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まったくのフィクションですか?それとも何かモデルが有るのですか?

映画「乱」は、まったくのフィクションではなく、いくつかの歴史的・文学的モデルに着想を得て作られています。
- 物語の根幹は、シェイクスピアの悲劇『リア王』を日本の戦国時代に置き換えたものです。『リア王』は、老王が三人の娘に国を譲ろうとしたことから家族の崩壊と悲劇が始まる物語であり、「乱」ではこれを三人の息子と家督相続の争いにアレンジしています^2_1^2_4^2_6。
- さらに、日本の戦国武将・毛利元就が息子たちに残した「三子教訓状」や「三本の矢」の逸話も重要な着想源となっています。毛利家は三兄弟の結束で栄えたとされますが、「もしその誓いが守られなかったら?」という発想が「乱」の物語の骨格となっています^2_1^2_6。
- 主人公・一文字秀虎の人物像については、黒澤明監督自身の姿を重ねているとも言われており、家紋のデザインにもその意図が込められています^2_3。
このように「乱」は、シェイクスピアの『リア王』、毛利元就の「三本の矢」の逸話、そして黒澤明自身の人生経験など、複数のモデルやモチーフを融合させた作品です^2_1^2_3^2_6。
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つまり、フィクションですよね?歴史モノではなくて。

はい、その通りです。「乱」はフィクションです。
歴史上の実在の人物や出来事をそのまま描いた「歴史もの(歴史劇)」ではありません。
- 物語や登場人物は創作であり、特定の実在の武将や事件を直接描写しているわけではありません。
- ただし、先ほど述べたように、シェイクスピアの『リア王』や日本の戦国時代の逸話(毛利元就の「三本の矢」など)をベースに、黒澤明監督が独自の物語として再構築したものです。
まとめると:
- 「乱」は歴史上の事実を描く「歴史もの」ではなく、
- 歴史や文学から着想を得た「フィクション(創作劇)」です。
戦国時代の雰囲気や背景はリアルに描かれていますが、物語そのものは創作ですので、気軽に楽しんでいただけます。

いつ頃の作品ですか?

映画「乱」は、1985年に公開された作品です。

主要な登場人物をまとめて下さい(役者名を含めて)。相関など。

映画「乱」主要登場人物とキャスト、人物相関
主要な登場人物とその役者名、人物同士の主な関係をまとめます。
登場人物 | 役者名 | 主な関係・特徴 |
---|---|---|
一文字秀虎 | 仲代達矢 | 主人公。戦国大名で三兄弟の父。隠居を決意し家督を譲る。 |
太郎孝虎 | 寺尾聰 | 長男。家督を継ぐ。妻は楓の方。 |
次郎正虎 | 根津甚八 | 次男。二の城を継ぐ。妻は末の方。 |
三郎直虎 | 隆大介 | 三男。父の方針に反発し勘当される。 |
楓の方 | 原田美枝子 | 太郎の妻。復讐心を秘める。 |
末の方 | 宮崎美子 | 次郎の妻。仏教に救いを求める。 |
狂阿弥 | ピーター(池畑慎之介) | 秀虎の道化・側近。風刺と解説役を担う。 |
鶴丸 | 野村武司 | 末の方の弟。幼少時に秀虎により盲目にされる。 |
平山丹後 | 油井昌由樹 | 秀虎の忠臣。三郎と共に追放される。 |
鉄修理 | 井川比佐志 | 次郎の側近。 |
藤巻信弘 | 植木等 | 近隣領主。三郎を婿に迎える。 |
綾部政治 | 田崎潤 | 近隣領主。 |
人物相関の概要
- 一文字秀虎は三人の息子(太郎、次郎、三郎)に家督と城を分け与える。
- 太郎の妻・楓の方は、かつて一文字家に一族を滅ぼされており、復讐の機会を狙っている。
- 次郎の妻・末の方もまた、一文字家に一族を滅ぼされたが、仏教に救いを見出している。
- 三郎は父の方針に反発し、藤巻家に婿入りする。
- 狂阿弥は秀虎の側で道化役を務め、物語を風刺的に見つめる存在。
- 鶴丸は末の方の弟で、幼い頃に秀虎により盲目にされた過去を持つ。
- 平山丹後は三郎をかばって秀虎に追放される忠臣。
- 藤巻信弘と綾部政治は、三兄弟の争いを利用しようとする隣国の領主。
補足
- 主要人物同士は「父子」「兄弟」「夫婦」「主従」「政略結婚」「復讐」など複雑な人間関係で結ばれています。
- 物語は家督相続を巡る父子・兄弟間の確執と、それに付随する家臣や隣国の思惑が絡み合い、壮絶な骨肉の争いへと発展します^5_1^5_4。
主要キャスト一覧
- 一文字秀虎:仲代達矢
- 太郎孝虎:寺尾聰
- 次郎正虎:根津甚八
- 三郎直虎:隆大介
- 楓の方:原田美枝子
- 末の方:宮崎美子
- 狂阿弥:ピーター(池畑慎之介)
- 鶴丸:野村武司
- 平山丹後:油井昌由樹
- 鉄修理:井川比佐志
- 藤巻信弘:植木等
- 綾部政治:田崎潤
このように、「乱」は少数の主要人物が濃密に絡み合う人間ドラマとして展開します^5_1^5_4。
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国内外の評価は?

映画「乱」の国内外での評価
国内評価
- 日本国内では、黒澤明監督の大作としてそのスケール感や映像美、俳優陣の演技力、リアルな合戦シーンなどが高く評価されています^6_1^6_5。
- 一方で、公開当時は「黒澤老いたり」といった声や、「七人の侍」など過去の黒澤作品と比べてドラマ性やカタルシスが弱いと感じる意見もありました^6_1。
- それでも、合戦場面の迫力や映画としての芸術性、哲学的な深みを称賛する声も根強く、「傑作」「名作」「一級の芸術」と評する意見も多いです^6_5。
海外評価
- 海外では非常に高い評価を受けており、特に映像美や色彩の鮮やかさ、壮大なスケール、シェイクスピア『リア王』を下敷きにしたドラマ性が絶賛されています^6_2。
- 著名な映画批評家ロジャー・エバートも最高得点を付け、「普遍的な破滅の物語であり、芸術の極み」と評しています^6_1。
- オスカー(アカデミー賞)では衣装デザイン賞を受賞するなど、専門家からも高く評価されています^6_2。
- 「死ぬまでに観たい映画1001本」ではトップ10に入るとまで絶賛され、欧米の映画ファンや批評家の間で特に人気が高い作品です^6_2。
評価の傾向と違い
- 日本では黒澤明の「活劇監督」としての側面やドラマ性を重視する傾向が強く、映像美やエキゾチックな要素は当たり前と受け止められがちです^6_2。
- 一方、海外では日本的な美意識や異文化性、壮大な映像表現に強い感銘を受ける傾向があり、その点が高評価につながっています^6_2。
まとめ
「乱」は国内外で高い評価を受ける一方、特に海外での絶賛ぶりが際立つ作品です。国内では賛否が分かれる部分もありましたが、現在では日本映画史に残る傑作として広く認識されています^6_1^6_3。
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