母に騙されて富士山に登るはめに

富士山は遠く見える大きな山、そんなイメージしかなかった私にある日実家の母が、「富士山のほうまで遊びにいかない?温泉もあるよ」とさそってきたのです。

会社勤めだった私の夏休みがちょうど合ってしまい、その頃小学生の弟がかわいくてしかたなかったので行くはめになってしまいました。

富士山に登るなんて聞いていなかった私でしたが、五合目まで車で上がっていく間に真相がわかりました。家族は富士山に登るつもりだったのでした。さらに母は私の防寒着まで持ってきていたのです。

夏でしたのであせが出る季節でした。山頂までのイメージも遠足程度にしか思ってなかった私は本当に舐めかかっていました。くもが下に見え、弟は酸欠で泣き泣き、母もおにぎり、お茶程度しかもっておらず、ポッケにあった唯一のお菓子「おつまみピーナッツ」のおいしかったこと。山頂が見えてくるころには、冬のような凛とした空気につつまれていました。お腹の空いたわが一家は、山頂手前の山小屋で一泊をすることになりました。

初体験の山小屋は、押入れの二階?に四人ぎっしり並んで眠る感じでした。ふとんはぺたんこだし、砂はざらざらでした。もちろんお風呂はなしです。カレーが倍の値段がで売られていました。トイレが一番ショックでした。あえて詳しくは言えませんが、そんなものなのでしょう。山ですし、日本の財産ですから、ごみは捨てるところは限られるわけです。

次の日早朝起きて、山頂で御来光を見ようとはりきっていたのですが、小学生の弟が高山病に近いかわいそうな状態になり、私は手をひいたりおんぶしたり、黒い山の砂にズブズブと足をしずめながら、降りたのを覚えています。母は相変わらず元気で、「下りたら温泉にいこうー。あーお腹すいたー。なんかいいものたべよう!」とカラっとしていてムカっときました。おばさんてなんて強いんだと富士山に教わりました。その後、下山すると弟もケロっとしており、私はこんなに筋肉痛になったことがないくらい筋肉痛で1日ねむり続けたのを覚えています。

富士山は意外にヤバイ山です。母はその後、がんを患いましたが、完治して今年こそは頂上まで登りたいと毎年言い続けて弟もしくは私が旅連れになるのを期待しているのです。

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